ヘルメットの選び方とオススメアイテム
2018/02/26
クライミングで必須のギアの『ヘルメット』ですが、様々な構造・形・機能がありどれを選べば良いのか分かりにくい…。
今回はそんなあなたの為にオススメのヘルメットを紹介します。
目次
ヘルメットの重要性
元々クライミングで必ず使用されていたヘルメットですが、ここ数年で登山でもヘルメットを携帯・着用する登山者が増えてきました。
ヘルメットをかぶることによって滑落・転倒・落石から頭部を守ります。
山小屋や県警が推奨していることもあり登山者自身の安全意識が高まってきているのでしょう。長野県山岳遭難防止対策協会は『着用奨励山域』と『ヘルメットをレンタルしている山小屋』を設定しています。(2016年現在)
山域名 | 奨励山域 | ヘルメット配置小屋 |
---|---|---|
北アルプス南部 | 槍・穂高連峰のうち、北穂高岳から涸沢岳・屏風岩、前穂高岳(北尾根から吊尾根)一帯、西穂高岳から奥穂高岳、北穂高岳から南岳(大キレット)、北鎌尾根・東鎌尾根の区域 | 涸沢ヒュッテ、涸沢小屋、槍ヶ岳山荘、西穂山荘、岳沢小屋 |
北アルプス北部 | 不帰の嶮周辺、八峰キレット周辺 |
なし |
南アルプス | 甲斐駒ケ岳、鋸岳 |
こもれび山荘、長衛小屋 |
中央アルプス | 宝剣岳 |
なし |
戸隠連峰 | 戸隠山、西岳 |
なし |
滑落や落石の危険が高い山域が指定されていますね。なんと遭難者(平成27年)の中で滑落と転落は20%(608人)、落石は0.8%(25人)と高い割合を占めています。(参考先 平成27年における山岳遭難の概況)
自分自身の安全を守るためにヘルメットは必須です。
種類
ヘルメットには大きく2種類のタイプがあります。
ハイブリッド
このタイプは内側がEPS(発泡ポリスチレン)で外側はABS樹脂というプラスチックのシェルで構成されています。
シェルで衝撃を耐えるため厚く重たくなるが耐久性が高いです。通気口が少なく蒸れやすく、価格が安い物が多いです。
インモールド
このタイプは内側がEPS(発泡ポリスチレン)で外側はポリカーボネイトというプラスチックのシェルで構成されています。
ポリカーボネイトはABS樹脂の約5倍の強度を持ちプラスチック材料の中で群を抜いて耐衝撃性が高いです。その為、シェルが薄くハイブリッドタイプより軽いのが特徴で、強い衝撃が加わった際は割れて衝撃を吸収するようになっています。
基本的に内側のEPSが厚くフィット感が良く、通気口が多く蒸れにくいです。
その他
基本は上記2種となりますが、PETZLのシロッコのようにEPP(発泡ポリプロピレン)のみを使用したヘルメットのように変わり種もあります。
選び方
数あるヘルメットからどれを選べば良いのでしょう?ここではヘルメットを選ぶポイントを説明します。
サイズ
1番大事なのは頭に合うかどうかです。小さすぎると頭が痛くなるし、大きすぎると動くたびにヘルメットがグラグラしてしまいます。
さらに、寒い時期はニット帽をかぶってからヘルメットをかぶることもありますし、クライミングではつばの付いたキャップの上にかぶる事もあります。使用目的も考えてピッタリのサイズを選びましょう。ストラップや後頭部の調整方法も重要です。
安全性
ヘルメットの安全規格にはEN12492とUIAA106の2種類があります。
EN規格とはヨーロッパ30ヵ国で国家規格として使用されている規格で、12492は山岳系ヘルメットの規格となります。UIAA規格はUIAA(国際山岳連盟)の規格でEN規格より安全条件が厳しく、ロープやピッケルなど様々な登山用品に使用されていいて106はヘルメットの規格です。
片方かもしくは両方の規格に適合したヘルメットを選びましょう。
重量
ヘルメットは物によって重さが様々。この後に説明する通気性やデザインとも関わっています。重いと長時間使用すると首が痛くなり、軽いと携帯性は良いですが穴が多かったり薄かったりで安全性に不安があります。
通気性
ベンチレーションの開口部が多ければ通気性が高くなります。通気性が高ければ蒸れが少なく快適ですが、ブラックダイヤモンドのベイパーのように開口部が多いため「落石の可能性の低いロッククライミング専用。登山やアイスクライミングには適しません。」というヘルメットも存在します。
デザイン
個人的には選ぶ基準の2番目だと思っています。サイズが合って色や形で「これだ!」とビビっと来るものがあれば、重さや通気性などは気にせず選んでしまって良いと思います。やはり気に入ってないと使い続けられないですね。
その他
特殊な機能重視で選ぶのも有りではないでしょうか。エーデルリッドのマディーロのような折りたたんで小さく出来るものや、アイスクライミングに便利なバイザーが付けられるクライミングテクノロジーやぺツルのヘルメットもあります。
オススメのヘルメット
第1位:Black Diamond ベクター
軽さデザイン共にオススメなヘルメット。インモールドタイプでとても人気のあるモデルです。サイズやカラーバリエーションが豊富。ベンチレーターを多数備え軽量なベイパーもありますが、ケガの危険性が高いためベクターの方が良いでしょう。
なぜかオレンジだけ正面のロゴが大きくかっこいい!
重量 メンズ S/M=230g
M/L=240g
ウィメンズ=230g
サイズ メンズ S/M=53-59cm
M/L=58-63cm
ウィメンズ=53-59cm
カラー メンズ=ウルトラブルー・ブラック・オレンジ・ブリザード
ウィメンズ=アイス/ドーン・グレイシャーブルー
定価 ¥11,880(税込)
BLACK DIAMOND(ブラックダイヤモンド) ベクター M-L オレンジ
第2位:PETZL エリオス・エリア
ペツルのハイブリッドタイプのヘルメットです。エリオスと女性用のエリアの2種類があり、女性はこのエリアがオススメ!エリアに採用されている『オメガヘッドバンドシステム』は髪を束ねている状態でもヘルメットの着脱が簡単で快適性に優れています。
エリオス・エリア共にリーズナブルな価格で耐久性が高く、どんなアクティビティにも対応できる高い凡用性を備えています。アイスクライミングにはバイザー『ビジョン』の装着も可能。
重量 | エリオス サイズ1=300g サイズ2=330g エリア=285g |
サイズ | エリオス サイズ1=48-56cm サイズ2=53-61cm エリア=50-58cm |
カラー | エリオス=ホワイト・ブルー・レッド・グレー エリア=ホワイト・グリーン・レッド |
定価 | ¥8,640(税込) |
第3位:GRIVEL サラマンダー2
重量はありますが正面のグリベルのロゴと後ろのトカゲがとてもカッコ良いサラマンダー。初代の390gから約40g軽くなりました。内側の深さや幅が広くとられていて頭が大きめの方にオススメです。登山家で14サミッターの竹内洋岳がかぶっていて有名ですね。
重量 | 352g |
サイズ | 55-61cm |
カラー | ホワイト・イエロー・ブラック |
定価 | ¥8,964(税込) |